タイム・トラベラー



 道すがら向こうの情報を検証しながら、こっちにきてから気になっていたことを考えた。
 10年バズーカは単純に10年前と交換だというけれど、俺の記憶には10年後に飛ばされた記憶がない。その記憶自体を人工的に消去された可能性もあるけれど、はっきりしているのは、時が10年前でも、俺と隼人にとっては10年前ではなく、24歳の継続した一部ってことだ。
「思いつめた顔してんなよ」
「隼人と一緒で安心したなって」
「嘘つけ」
「ははは、わかっちまったか」
「ちっ。そういう時は嘘じゃねーって言うんだ」
「隼人のことを考えていたのは嘘じゃねーぜ」
「俺だっておま…」
「山本さーん、獄寺さーん」
 背後からイーピンの声がした。同時に振り返る。イーピンの横にはランボもいた。あぁ探す前に出会えてよかった。
「なぁ…今夜からあいつらも俺んちにくるわけ?」
 ぼそっと呟く隼人を覗き込む。時が戻ったようだ。昔よく見せた「迷惑だ」って顔。感情を露にする隼人が久しぶりで、ついからかってしまう。
「俺と二人が良かった?」
「そんなんじゃねー」
 イーピンと(半泣きの)ランボが駆け寄ってくる。それを見ながら隼人が俺の肩を抱き寄せて囁いた。
「俺だっておまえが来てくれて助かったんだって」
 すぐに見返したけれど、イーピンたちに向かって歩き出したその横顔を見損ねてしまった。風で覗いた耳は赤く染まっているから想像はつくけれど。
 俺達が過去を変えてツナが戻るかわからない。けれど、違う未来ができるなら、そして、隼人が笑うならこの旅の意味はあるはずだ。過去の絡まった因縁を全部この刀で切ってみせる。
 隼人の後姿に、俺は誓った。






8/5は8059の日。ということで、突発企画。16巻表紙フィーバーってことでひとつ。
ある意味、今の並盛が大フィーバーなんじゃないですか?ほぼ守護者10年後が揃っているぜ!/だい。






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