転寝する場所の条件 客室に待機していたメイド二人に丁寧に傷の手当てをしてもらい、ディーノはツナが用意してくれたスーツに着替えた。サイズが恐ろしいほどぴったりなのは流石と言うべきか。 「ボス、そろそろお時間ですよ。」 ノックの後に顔を出したのは、ディーノの腹心の部下であるロマーリオだった。ロマーリオは、ディーノが雲雀を戦っている時も傍にいたので、顔の傷の理由を知っている。 「恭弥は?」 「さっき会場を覗いたら、端のベンチで寝ていましたよ。」 「会場にいるだけでもマシか。」 二人は笑いながら部屋を出た。 廊下からはまぶしい空が良く見えた。窓の横を数羽の鳩がよぎる。 「そういや、リボーンが妙なこと言っていたんだよな。」 「なんですか?」 ディーノは、着替える前にパーティー会場にてリボーンと会話した内容をロマーリオに話した。ロマーリオは、聞きながら途中で何かに気づいたようだ。 「そりゃボス、確かに鳥同士だ。」 「ええ?なんでだよ。」 ロマーリオは不思議そうな顔をしている自分のボスを、面白そうに見返した。 「ボス、漢字には文字自体に意味があるって知ってます?恭弥のファミリーネームは雲雀…つまりallodolaなのは知ってますよね。」 「それは最初に聞いた。」 「獄寺のファーストネームの隼人の最初の漢字は隼…つまりFalco di Peregrineなんですよ。」 ディーノは片方の眉を上げて驚いて見せた後、口の端を上げて笑った。 「…なるほどね。それで鳥同士なのか。」 庭園へと出るガラス扉を開けると、青空をバックにして高く鳩が飛び去っていくのが見えた。 雲雀は不機嫌そうにベンチに横になっている。日本にいたときから何故か部下に慕われている雲雀の傍らには、数名の男が立っていた。 ディーノが近づいてくると、無言で傍を離れていく。 「……何。」 黙って立っていると、目を閉じたまま雲雀が声をかけてきた。ディーノはそんな雲雀の様子に、笑っているだけだった。 ボスの傍で付き従う者も必要だが、違う立場に立つものも必要なのだろう…そのための雲の守護者なのかもしれない。だからこそツナは何も言わないのだろうし、そうあることを変えようとしていないのだろう。 「いや、お前に言う事は何もないさ。」 その返事が少し意外だったのか、雲雀は目を開けてディーノを見上げた。 「また手合わせに来てやるから、今日はおとなしくしてろよ。」 「馬鹿にしてるの?次こそは咬み殺すよ。」 「ああ、またな。」 笑顔のディーノを胡散臭そうに睨むと、雲雀は再び目を閉じてしまった。 「もしも10代目就任式があったら」 ディーノさんと雲雀さん、ときどきリボーン、獄寺って感じで(笑。/つねみ。 |