マンジャーレ!マンジャーレ!マンジャ−レ!



まぁ、俺には関係ないし、とランボは空になった綱吉のグラスに赤いワインをとぷんと注ぎ足す。
「どうですか?」
「美味いよ。あのランボがね。びっくりだよ」
「だから人生はおもしろい。昔、ランチアが言ってましたよ。予想がつかないことが起きるから人生はおもしろいって」
「達観してるからね。ランチアは」
きっと彼も彼で綱吉を探しているだろう。夕方の色を瞳に映して空をずっと見ていた綱吉の横顔を思い出す。何が足りなくて何が欲しいかなんて、本人が一番知っているのだ。
そう、彼は何もかもわかって、でも僅かの間だけ荷物を降ろしたくて姿を消すのだろう。軽くなった肩で小さく息をして、また顔を上げてドン・ボンゴレに戻っていくんだろう。
「何も言うなよ。言いたいことは充分わかってる」
「じゃ、何話します?無言のメシはまずい」
「美味い時は黙ってしまうもんだよ」
「うぬぼれますよ」
「てんだろ?」
「確かに」
綱吉にお代わりをよそいながら、鍋に残すは2人分のソース。
きっと、夜中に怒鳴り込んでくるであろう、親愛なるたれ眉のあいつの為に。






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