護るために



ボンゴレ関係者の警備体制の見直しミーティングとその面子でなだれこんだ呑み会が盛り上がり、解散したのはてっぺんを軽く越えた後。アパルトメントに近付くと寝室の灯りがうっすら見える。
んーやっぱりモロ見えはまずいよな。オレでも人影が見えたら撃てるな。防弾ガラスでもバズーカじゃアウトだしなー。と仕事に引き続き自宅の警備体制の見直しを軽く始めた山本に、隣の警察署の警備員が「ciao」と声をかける。山本の事を大学生と思っている節がある顔見知りの若い警官だった。

アパルトメントの入口のドアを開けて、壁に数ヶ所埋めてある監視カメラの起動をチェックし、カメラの向こうのガードマンに「ごくろーさん」と手を振る。金属探知機を埋め込んだ中扉をくぐり、エレベーターに乗り込む。
流石に深夜はこの古いエレベーターの動作音が大きく響く。
−−獄寺を起こさなきゃいいけどな。
足音を忍ばせて、自分の部屋に向かう。バスタブに熱い湯を張る。肩までつかり、湯冷めをするギリギリまで心身共に解放した。
バスローブ姿で冷蔵庫からエビアンを取り出す。飲みながら明日の予定を反芻して明日朝のスケジュールを組み立てる。
カウンターに投げたままの携帯電話とエビアンを手に寝室に向かう。
静まった寝室では獄寺の銀髪が薄く光っていた。
サイドテーブルに携帯とエビアンを置き、獄寺の横に滑りこむ。おだやかな暖かさの獄寺を背後から抱きしめる。
「ただいまー」
「―死ね」
悪態をつく獄寺に山本はくすくす笑い、回す腕に力をこめた。
今日もちゃんと獄寺を護ることができた。安心して急激に眠気が訪れた。いつものように銀色の髪に顔を埋めて山本は目を閉じた。






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