屋上のおまけ



 昼寝をしようと屋上に行ったところでランボに出会い、「てめぇ!」と捕まえようとしたところを十年バズーカで撃たれ、赤いド派手な車の前に飛ばされた。もしかして未来の自分が乗っているのかも!と思いながらもキーを持っていないため触ることもできず、かと言って辺りに知り合いはいなさげで無意味な時間を過ごした獄寺は来た時と同様、急に自分の時代に戻された。

 屋上にいたはずが、体は宙を飛んでいて目の前の空中にはアホ牛がいた。思わず両手を差し出して抱え込み、背中から床にたたきつけられることを覚悟した。
 が、反対の柔らかい感触に包まれた。
「っと、ワリィ!!…って雲雀!?てめぇ、何してんだ!?」
 背中から落ちる獄寺をまともに受けた雲雀もまた仰向けに転がっていた。ヒバリ、ダイジョウブカ?と黄色い小鳥がさえずっている。夢かと思うほど、予想の斜め上をいく現実だった。受け身をきちんと取ったであろう雲雀は痛みを表に出さず、獄寺を払い落とすと奇妙な顔をして見下ろしてきた。
「あんだよ」
 さぼってるのなんだの難癖をつけられることを覚悟して睨み上げるが、雲雀は更に不思議そうな顔をして首をかしげ、つい、と飴玉を口いっぱいにほおばっているランボに視線を移した。
「早く、連れて帰りなよ」
「はぁ?」
 獄寺へ応えることなく背中を見せた。雲雀、ともう一度獄寺が呼ぶと微かに振り返った。
「さっきはありがとな。礼を言っとく」
「今回だけだよ」
 見逃すのか、助けるのか主語がわからないまま雲雀は立ち去った。下校する生徒のチェックをするために校門にでも立つのだろうか。獄寺は腕の中で幸せそうに飴玉を嘗め続けるランボにためいきをついた。そこで授業終了のチャイム。
 当番じゃない綱吉が獄寺の鞄を持って屋上に上がってくるだろうから、待つわけにいかないし、こいつを手放したらロクなことにならないし、とランボを抱えたまま獄寺は立ち上がった。
「帰るぞ。……そういえば、十年後のオレどうだったよ?」
「ランボさん知らないもんね」
「かっこよかっただろ」
「しらないもんねー!」
「どうせ、これ買ったのオレだろ!?」
「ランボさんのだもんねー!」
 イラッとしながらもムキになった獄寺を、遠くから眺めていた綱吉から「まるで兄弟みたいだったよ」と言われた獄寺が、ランボにゲンコを見舞ったのはそれから五分後のお話。






「屋上のおまけ」では、真っ赤なアルファロメオの回りをきゃいきゃいぐるぐるする14獄を見たかったのでした。大丈夫、将来君が乗っている車だから。そして、そのきゃいきゃい14獄を背後で24山が眺めていたという。かわいいね!20080509/だい。






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