ワナビー



昨夜から呑んでいた友達が帰った後、呑み疲れの笑い疲れで頭痛が残った。景気付けにロック専門のラジオ局をチューニングして掃除を始めようとした。けど、日当たりのいいベッドを見たらついダイブしてしまった。
「アホ牛起きやがれ」
リボーンの夢を見るなんて最悪。こんな気持ちいい午後には仔猫ちゃんの柔らかい体を抱きしめていたい。髪を誰かに触られた。優しく撫でられてうっとりする。そうそうこんな感じ。髪の毛の先をもてあそばれて少しくすぐったい。
「くすぐったい…よ」
つい呟いた寝言で目を覚ます。うわ、恥ずかしい。
「Buon giorno」
降ってくる言葉にびっくりして見上げると窓からの逆光の中、リボーンがいた。
「なんでいるの?」
「玄関開いてたぞ」
「嘘!」
玄関に走ろうとしたら床に転がりっぱなしの空き瓶を踏んでしまった。
「う、わっ」
宙をかく腕をリボーンが掴む。子供にしか見えないのにオレぐらいどってことなくて。
「ありがと」
年下なのに、もうこいつの事なんて構わないはずだったのに。
照れ臭くってまともに顔なんて見られやしない。ベッドに腰かけてリボーンのいつも磨かれた靴をなんとなしに眺める。
「ええと。用は何?」
「特に」
またか。リボーンは時折訪れてはこうやって何も言わずに過ごしていく。オレにとってはとてつもなく居心地が悪い。こんな時はどうすればいいんだろう。恥ずかしいとこばっか見られてかっこわるいことこのうえない。それにこんな散らかっているのは友達と呑んだ後であって、これから片付けるんであって…。
白々しく流れるアメリカン・ロックに当初の目的を思い出す。
「片付けしたいんだけど…」
「すればいい」
「リボーン?」
「ん?」
見上げると太陽をまともに見てしまう。小さなリボーンの体は光に埋もれる。
「仕事は?」
「終わった」
「そう」
リボーンは不意に携帯を取り出してオレの目を見ながらわからない言葉で短く答えた。短い間に鋭いめつきに変わるから、あぁまた仕事なんだね、思う。
おや、とリボーンの片眉がキレイに上がって、それすらもいちいち色っぽくてドキドキしてきた。
神様はなんでこんな生き物を作っちゃったんだろう。
「仕事ができた」
「気を付けてね」
言った後で誰に向かって言ってるんだ?とリボーンになじられると思って首をすくめたら覗きこまれて額に冷たい唇が押し付けれた。
「俺は神には創られてないぞ、アホ牛」
色んな意味でなんで?と思ったけど答えを聞く間もなく出て行った。
予想外の出来事の連続で考えが追いつかない。と、言うか軽くパニクってる。リボーンごときにおかしいだろう。でも、なんでか顔が赤くなって仕方ない。
あぁまだ昨夜のお酒が残ってるんだな。






リボラン拍手2 20070507
しばらくこういうリボランを書いてみる。 /だい。






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