空腹は最高のソース



水の音で目を覚ました。柔らかい羽根の枕を幾重にも重ねた中に溺れるように寝かされていた。首元まできっちり毛布とシーツが押し込まれるように巻かれていた。くん、と鼻を鳴らすと山本の匂いがした。体中あちこち痛いけれども、このまま生温い空気とベッドと山本の匂いの中で寝ていたかった。ぼんやりと意識を彷徨わせて、山本の使うシャワーの音を聞いていたら次第に眠りに落ちていくのが自分でもわかった。
幸せだ。
何の心配もなく、心から安らいで眠りに落ちることのできるこの瞬間。
空腹が満たされるように幸せだ。
これ以上何を求めるというのだろう。
なぁ、山本。






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