愛とは、次(みらい)を信じることである。



 ボヴィーノの使いという男が店を訪れたのは一週間後のことだった。
「わりぃが、それからこっちには来てねーぜ」
「プランツ・ドールに寿命というものはあるんですか?」
 マフィアとは思えないただの好好爺に見える老人に椅子を勧めながらシャマルは唸った。
「様々だな。マスターの死が寿命のプランツもいるし、そうでないのも」
「ランボは私の孫みたいなものでした」
「はぁ」
「レイ・アミーチーーリボーンは時々真理の縁を覗く老人のような表情を見せて、まるで何百年も生きているような感じがしました」
 ――まぁ、間違ってねぇがな。
 膝の上で組んだ指先は老いて鶏ガラのようだった。プランツ・ドールに囲まれて生きるシャマルが久しぶりに出会った「生」だった。
「いくつになっても子供だったランボに、リボーンのような存在が出遭ったことは、神の啓示だと私は思いました。いつまでも私の子供のような存在でも構わないと思っていたランボが。あの子がこの地上で唯一の才能を持っているなんて、そこに”小さな大人”が出会うなんて、啓示じゃなくてなんだと言うんです、とね。ーーもし、あの子が訪ねてきたらいつでもウチに帰っておいで、と伝えてください。我々はみんなおまえ達を待っている、と」
 目頭を押さえる、使いと名乗るこの老人がボヴィーノのボスだと、シャマルはとっくに気付いていた。
「連絡先だけ置いていってくれ」
 老人は名前と電話番号だけ記されたシンプルなビジネスカードを傍らの机に置き、席を立った。






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