チネ・ラヴィータ



「あれ?」
気付くとリボーンの姿はなかった。
「リボーンは?」
「電話来たみてーだな。それよりなんの映画を観たんだ?コラ」
「Nuovo Cinema Paradiso」
「あー、なるほどな」
「観たことある?」
「あるぜ、コラ」
「キス・シーンのとこって良くなかった?」
「あれは俺が観た中で一番の名シーンだぞ、コラ」
「だよね!きっと、彼以外はあの男の気持ちなんて知らないんだよ。彼も大人になって初めて、映写技師の気持ちがわかったんだと思う。そのことを思い出すと泣けて仕方ないんだよ」
コロネロさんはうんうん、と頷いてくれた。
リボーンとは全然違うね!リボーンも見習えってんだ。
「だからね、人の気持ちって残るから切ないんだと思うってリボーンに言ったら、全然思わないってゆーんだよ。ひどくない?」
「全然思わねーって?」
「オレが小さい時の頃なんて覚えてないだろって。それとこれとは違うって言ったんだけどさ」
コロネロさんはくつくつと声を抑えて笑い始めた。
「その映画が公開された時、こう言った奴がいたんだぜ、コラ」






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