チネ・ラヴィータ



『俺は何があっても全部覚えてる。俺と関わった人間の気持ちは全部覚えてることにしたぜ』

ってな、コラ!とコロネロさんが言うのと、背後で殺気が急に湧き出したのは同時だった。
「アホ牛、今おめー何か聞いたか?」
「……全部覚えてるって」
「死ね」
「俺も一緒に撃つなよ、コラ」
コロネロさんは背中のライフルの先で、リボーンの銃口を空に向けてくれた。
「全く、普段物覚えがわりーくせに、こういう時だけは脳細胞回るんだな?アホ牛よぉ」
目が、目が怖いよ、リボーン、アンタ本気だね!!銃口をぐりぐりと頭に押しつけてくる。
「何を言ってるかわかんないよ。わかるよーに言ってよ」
「アホとは話したくねー」
コロネロさんはずっとゲラゲラ笑っていた。笑いすぎだよ、って言っても止まらなかった。
「ったく、ホントおまえらいつ逢ってもおもしれーなー、コラ」
コロネロさんの腕時計が光った。「呼び出しだ、コラ」と言って立ち上がると、オレの頭をぐしゃぐしゃっとして片手を上げて海へと戻った。タグボートが波打ち際でコロネロさんと待っていった。あっという間に水平線に消えていくのを見送っている内に、シーサイドの店々にぽんぽんとライトが灯ってきた。夜が始まるんだな。






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