マンジャーレ!マンジャーレ!マンジャ−レ! 翌朝、憑き物が落ちたようにすっきりした頭で目を覚ました綱吉は、眠るランボのアップに迎えられた。腰に巻きつくランボの腕を外して起き上がって、動きが止まる。 「朝から見たくねーもん見ちゃったな」 ランボの向こうには背中を向けて寝るリボーン。二人共に服は着ていないっぽい。とにかく広いこのベッドは大の男が3人寝てもまだ余裕がある。こんなとこ人に見られたくないなぁ、と寝癖のついた頭を掻く。柔らかい茶髪はイタリアの水にも変質することなくふわふわで、よって寝癖も毎朝もてあまし気味だ。 そういえば、と、綱吉は自分に巻きついていたランボの左腕の付け根を見る。周囲の肌の色とあまり変わらないが引き攣れた傷跡がまだ残っていた。親指の腹で撫ぜながらしばし邂逅の海に陥る。 「−変な気になりそうですよ?」 ランボがそっと呟いて、あっさりとサルベージした。 「リボーン専用だろ」 寝惚け眼でかろうじて唇の端をあげるランボを置いて、ベッドから降りる。 素朴な木の感触が寝起きの足の裏に心地よくって、一段と機嫌がよくなる。昨日さぼった仕事もお小言も今日は軽くこなせる気がしてきた。 「世話になった」 顔を洗って準備を整えた綱吉がランボに挨拶をするためにベッドルームを覗いたら、いつの間に起きたのか、準備をすませたリボーンが靴紐を結んでいた。 「送るぞ」 涼しい顔で綱吉を見上げる。綱吉は頷いて踵を返した。 「ボンゴレ、リボーン行ってらっしゃい。…ツナ、いつでもドアは開いているよ」 当分は必要ないだろうな、と思いながら言ってみた。 怠惰にシーツにくるまる、黒い巻き毛とその隙間からこぼれる緑の瞳。 二人の男はそんなランボを軽く振り返って、それぞれ独特の笑みを浮かべ、それを隠すようにボルサリーノを被った。 |