マンジャーレ!マンジャーレ!マンジャ−レ!



半刻後、銀色のボールがその綱吉の前に置かれた。ランボに椅子を引かれて立つのよう促される。
「手を洗ってきてください」
「なにこれ」
「ミートボール作るんですよ。手を動かしても考えることはできるでしょ」
「成長してかわいくなくなったね」
「昔のことはお互い言わない約束じゃないですか」
アホ牛にダメツナ。泣き虫にヘタレ。年齢こそ離れているものの、それなりに振り返りたくない過去はあるものだ。挽肉に卵、チーズ、パン粉、そして少量のイタリアンパセリ。綱吉が戻ってくると粘りが出てくるまで混ぜて丸めて、と手順を説明した。
「泥遊びするみたいに、ぐちゃぐちゃに混ぜてください」
柔らかい挽肉の中に恐る恐る手を突っ込む。
「そうそう、底からすくってこう握って指の間から出しちゃってもいいですよ」
頃合いを見計らってボールを作るように転がして、バットの中に並べるように指示した。
「ソース見てきます」
キッチンでは、トマトソースがくつくつと煮たっていた。トマトの匂いが充満して腹がくぅと鳴る。誰かがいる食卓は料理が出来上がる前から美味いことを約束されているようだ、とランボはにっこり笑う。






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