Help me to help myself



 優しく抱きしめられる感触に獄寺は自分も両手を伸ばした。
 ――10代目。大丈夫です。自分はずっとお傍にいます。
 心細い綱吉をそっと抱きしめる。今はこれしかできないけれど、必ず貴方のお役に立てるような人間になりますから。
「10代目…大丈夫…」
 抱きしめられていた感触に思わず目を覚ます。心地よさを感じていたのは、同い年の山本はもっていなかった薄い笑みを浮かべる十年後の山本。逞しいその体に先ほどの醜態と怒りで体を熱くする。視界が赤く染まりそうだった。
「…離せ…」
「離さない」
「なっ」
 そんな簡単に断言されるとは思わず、二の句が継げなかった。茶化す眸が真剣味を帯びていた。
「気持ちよかっただろ?」
 ぐっと抱き寄せられ、厚い胸板に押しつけられ耳を舐められた。舌先でぐるんと穴の縁を舐められて鳥肌がたつ。
「んっ」
 ぴちゃぴちゃと音を立てられる。くすぐったさを我慢できずに体は逃げを打つ。山本はそれを許さずに抱きこんだままゆっくりとうなじをその舌で嘗めてゆく。
「ひっ、んんっ…やっ」
「やめてって言って。さっきの獄寺かわいかった」
 強制的に中を洗われたことを思い出す。こわばる体を弛めるように背筋を撫で上げられる。
「て、めっ」
 びくんと体を震わせた隙に両手を頭上でひとまとめにされる。
「抵抗するなら、縛ってもいいんだぜ?」
「なっ!!」
 目の縁を赤くして自分を睨む獄寺のその目元に唇を寄せて、ぞろりと舌先で舐めると反射的に身を捩られた。でも、両足の間にさしこんだ山本の太ももに獄寺は熱を伝えてしまう。
「抵抗しろよ」
「っざっけんな!!」
 子供扱いをされることにたまらなくて叫ぶ獄寺をキスで封じる。
「そして?野球バカ?もっと俺のことを呼んで」
 片手で易々と抵抗を封じられてもがく獄寺はそむける視界の端に泣きそうな顔の山本をみつけて動きを止めるが、瞬時に自分の唇を嘗め上げる肉食獣の貌に見間違いだったことを知る。
「おまえなんか山本じゃねぇっ!!」
「――我慢してたんだよ」
「はぁうっっ」
 体を裏返されて、うなじを嘗められて、強く吸い上げられた。
「獄寺を壊すんじゃないかって」
「おれはっ…ああっ、…そんな弱くねぇっ。あっっつぅっ!!」
「知ってる」
 ざらりと肩を背中を嘗められ、その執拗さは初めての感覚で肩に力を入れてしまう。浮き上がる肩胛骨もしゃぶるように嘗められる。舌なめずりの音が聞こえるようで本能として逃げたくなる。
「はっな…せっ」
 骨をなぞるように、窪む背筋を埋めるように山本の舌が這い回る。爬虫類のような感触を思い出す。それでも頭上でひとまとめにされた腕はどれだけ力を入れても外れる気配はないし、腿裏で抑えられた足も膝下しか自由にならない。ふと、手が自由になった。と、同時に腰を抱え上げられて後孔を嘗められた。






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