貴方、いい人で終わるタイプでしょ そして、水曜日の夜。 血まみれの雲雀がディーノの部屋に訪れた。 雲雀の体の無数の傷と流れ続ける血にディーノがロマーリオを呼ぶのと、ボンゴレからのリリースを手にしたロマーリオがディーノの部屋のドアをノックしたのはほぼ同時だった。 「ボス!!ボンゴレから…恭弥!大丈夫か!?」 「貴方邪魔。出て行って」 「まず手当てだろ」 「こんなのどうってことないよ。それより」 二人を無視して、雲雀はディーノの唇に自分の唇を重ねた。いきなりのことに年上の大人二人が固まる。 「今夜は久しぶりに興奮してんだ」 「……ボス、どうぞ。失礼します」 ロマーリオは腹心の部下らしく、キスを受け続けるディーノにボンゴレ・リリースを手渡して出て行った。 その後ろ姿にディーノが伸ばした指先は、あっけなく閉じられたドアに拒絶された。 「貴方がする気がないなら、僕がしてあげてもいいよ」 キスを繰り返しながら間近に見る雲雀は血の匂いが立ち上り、存分に噛み殺した後の興奮か切れ長の眸の縁を赤く染め、壮絶な色気を出していた。ディーノの返事を待たずディーノの襟元を開き、白い肌にキスをおとしていく。その雲雀の頭越しにディーノはリリースを読み、ここ数日の雲雀の行動の意味を知った。 「ってっめー。んな楽しいことやってやがったのか…よ」 既にソファに押し倒されてシャツのボタンは全部外されている。リリースを宙に放し、せっつく雲雀の髪の毛を掴んで顔を上げさせた。 「気付かなかった貴方の落ち度だね」 まるで血を舐めたかのような赤い舌が自分の腹の上で蠢いた。どくん、と心臓が跳ねる。下腹部に熱く、不埒な熱がたまる。 「俺はお前と一緒に闘(や)ってみたいんだよ」 向き合うのではなく、お互いの共通の敵にパートナーとして。それは、ファミリーの頂点に立つボスが持つにしてはささやかな夢だった。 「そんなの知らない」 想いを込めたディーノの告白は、リリースと同じ軽さで床に落ちる。 「後悔するなよ」 雲雀の対応が予想通りだったので、ディーノは不敵に笑って、雲雀と体を入れ替えた。 |