ゆうこ様 @内竈
■「ふたりでいます。」小説 13ページ
「た、だいまハニー……」
山本の軽口に、「おかえりダーリン」なんて言ってやる性分でも、そんな場合でもなかった。
まばらに無精髭を生やし、皺の寄ったスーツを纏った山本がずるずると玄関にへたり込む。ボロボロの体で帰ってきた山本を見て、獄寺も出迎えるなり目を剥いた。
「おい、大丈夫か?山本」
「悪い……ちょっと寝不足なだけ……」
獄寺は膝をつく山本の前に屈み、丸まった背中を撫で摩った。労わる仕草に苦笑しながら山本が顔を上げる。その表情には濃い疲労の影が見えて、獄寺は眉を顰めた。無理しやがって、と悪態をつく。おそらくさっきの軽口は、極限の精神状態をごまかしたつもりだったのだろう。
「立てるか?ベッドまで歩けるか?肩貸してやるから、ほら」
「ああ、獄寺が優しければそれだけで癒される……」
「馬鹿言ってんな」
獄寺は溜息を吐きながら山本の肩を抱いた。
