わんこ様 @ルイトモ
■「夜の行方」小説 3ページ
夜は好きではなかった。
幾万光年先の星へと導く夜闇は果てなく、自分の足許も覚束無いような、宙に放り出されたような心許無さに押し潰されそうで、手足を縮めて体を丸めて夜明けを待つしかなかった。
生家を飛び出し、街角に身を潜めて暮らしていたあの頃、夜の訪れは恐怖でしかなかった。
――貴方がたは以前は暗闇でしたが、今は主にあって光となりました。
いつかオレにも、光は訪れるのだろうか――幼い頃聞かされた聖書の一節を噛み締めながら、眠りの淵を漂っていた。
